25年も前に出版された「アミ小さな宇宙人」。なんと世界11カ国で翻訳されているそうですね!さくらももこさんの表紙でも有名な本なので、「いつか、いつか」と思っていましたが、やっと私の中で手にとるタイミングが来たようです。
この本は、主人公の10歳の子供であるペドロ(ペドゥリートと呼ばれる)が、宇宙人アミと遭遇し、地球の外や中の色んなところへ連れてってもらったり、宇宙について教えてもらい、心の交流をする、というお話。最初、この少年がこの本の作者で、実体験を元に書いているのかな??と思いながら読み進めたのですが、調べてみると、どうやら何らかの実体験を元にはしてる様ですが、創作物である、とのこと。宇宙人アミは、地球人を宇宙の中でも「未開人」だと言い「救済計画」の一環で地球へ来たと言います。アミが語る宇宙の星々の話や世界観は豊かで、読んでいてとても楽しかったのですが、このアミが言う「救済計画」や「宇宙の法」が、少し説教調だったことが、個人的に少し気になってしまいました。
この本の中では、”みずがめ座時代”について触れていて、どうやらニューエイジ思想が根底に流れているようです。ユートピアや、美しい夢や理想は、私達に希望を与えます。しかし、これまでの歴史、過去、そして現在起きていることを否定したり批判した上に、自分が描く美しい夢を「正しき道」だと語る時、その「希望」は一瞬強い光りを放つと同時に、何故か少し儚く、淋しを感じてしまいます。
以前、鏡リュウジ先生が「アクエリアンエイジ(水瓶座時代)」に関する講座の中で「アクエリアンエイジ」到来を予言されたのは、今回だけではなく、これまでの時代の中で繰り返し、”新しい時代の到来”を予言する流れがあったことを説明されていました。「アクエリアンエイジ」は、プラトンやユングが占星術を元にした思想を唱えてきました。現代にこの思想を大きく広めたのは、87年ニューエイジがメディアで拡大した年だと言われています。
『アクエリアス』【字幕あり】ブロードウェイミュージカル「ヘアー」より
時代の変化があり、”あなたはエッジに立っている”と説き、未来への希望とユートピア的な世界観が描かれています。もしかしたら、いつの時代にいても、いつも”世の中”は”変わり目”なのかもしれません。何か新しい価値観に触れ、それまでの人生を構成してきた既成概念が崩れ、何かを深く探求する時、私達1人1人に起きている変容は、まさに「革命」であり、まるで「生まれかわる」ような原体験をしている、と言えるのかもしれません。
”世界” という言葉で、私達が大きく何かを捉えようとする時、そこにあるのは固有の存在ではなく、あまりにも漠然とした抽象的なものを指しているのだと思います。結局のところ、”世界”とは、私達1人1人が捉えるそれぞれの”世界”であり、その集合体を1つの「正しい視点」から眺めることが私達にはできないのだろうと思うのです。そこに人生の美しさや豊かさがあるのだと、私は信じたいなと、読みながら改めて、そんな事を考えました。