起業家の家入一真氏の元奥さんである、柴原明子さんの処女作「家族無計画」。このHPでもお世話になってる、レンタルサーバーのロリポップ!の創業者でもある家入氏の本も、これまで何冊か読んだことがあるので、彼が起業するキッカケとなった結婚や、ネットで出会った奥さんとの馴れ初めはとても印象的で、一体どんな方なのだろう〜??とずっと思っていました。
家入氏の本は主に彼のビジネスの話が中心なので、家庭の話は決してこれまで詳しくは書かれていませんでした。本作は家入氏の成功の裏にあったストーリー、奥さんサイドの明子さんの視点から見た家入氏やあの成功の日々を垣間みれたことは、とても興味深かったです。
お二人は若い時に出会い結婚されたそうですが、家入氏のユニークさはさることながら、その家入氏に惹かれて結婚した明子さんもとてもユニークで、お二人は出会うべくして出会ったのだろうなと、書かれている内容からひしひしと感じました。明子さんは専門学校を中退してすぐ家入氏と結婚して出産。そして家庭に入ったので、30過ぎて離婚するまで就職経験が無い、と書いてありましたが、それまで経験して来た彼女の様々な経験を見つめる、その視点はとてもユニークで、ちゃんと人生のどの瞬間も自分の頭で考えて生きてきた様子が伺え、それがとても魅力的に感じました。
「就職」という一点から見れば、確かに30過ぎるまでその経験が「無かった」人生になるかもしれませんが、彼女が30歳まで生きて来た時間や、経験して来た様々なこと柄は、確かにそこに存在し、その時間は決して人と比べるものでもなければ、ましてや「無かったもの」なんかじゃない、ということ。私達はある「一点」を切り取り、そこを他者と比べ、「ある」「無い」「持っている」「持っていない」と感じてしまうけれど、そもそも、私達の人生は他者と比べられるものでも、はじめから同じ土俵の上にも立っていないんじゃないかな〜などと、改めて読みながら感じました。
もうひとつ、覚え書きとして記しておきたいこと。それは、柴原さんの本の中で印象的だったことの1つに、「女であること」や「男であること」といった「性」が、彼女の中でとても強い興味の対象としてあったこと。そのフィルターを通して、自身の結婚や人生、仕事、周りで起きている出来事や問題をながめている様子でした。さすが家入氏と10年以上連れ添った奥さんだけあって、強く、そして人生を肯定する力を持った優しさが文章からにじみ出てくる、男女問わず読んで楽しめる内容となっていると思います。
今後柴原明子さんがどのような活動をしてゆくのか、楽しみになった1冊です。