先月都内で行われたイベント「しあわせの経済 せかいフォーラム2017」に、残念ながら行けず‥。このイベントの根底に流れているアイディアが知りたくて、参加されているナマケモノ倶楽部の辻信一さんとヘレナ・ノーバーグ=ホッジさんの対談が読める本書「いよいよローカルの時代」を手に取ってみました。もうこの本が出て、8年も経っているのですね。
“環境によいものは、環境に悪いものの2、3倍の値段がついている。それを買って世界を変えるという満足感に浸ってしまう。倫理的投資、フェアトレード、借金と自然の交換、排出量取引…、「解決策はすべて市場の中にある」といつも言われて洗脳されていますからね。”
”消費者からいえば、フェアトレード商品を買うことが少しは賢明だといえるかもしれないけれど、しかし生産者の立場からいえば、危険性もある、というふうに。その危険性とは、グローバル市場経済に人びとを巻き込み、貿易を増やし続けることでしか、世の中の問題は解決できないという考え方の枠の中に入ってしまうという危険です。つまり、競争の中に身を置くことになり、より脆くて持続不可能な方向へ引き寄せられていく危険性と言ってもいい。フェアトレードをやるなら、より望ましいのは、次のような考え方をラベルに明記するようにして行くことだと思います。「フェアトレードとは、地域自立的な経済をつくる方法のひとつであり、この商品が生産者と地域の自立を助け、分散型・持続可能な社会へ向かうための手段になります」というふうに、ね。”
“まるで、生きていくのに必要なモノを供給したり、必要なサービスをやってくれるのは、自然界じゃなくて、経済ででもあるかのように。ほんとうは、水を浄化したり、空気をつくったり、食糧やエネルギーをつくっているもはみんな自然の力なのにね。”
”まず民主的に選ばれたはずの政府よりも、金儲けを目的とした利益集団の方が大きな権力をもって、私たちにより大きな影響を与えるという仕組みから、私たちはブレイクアウェイしなければいけない。なぜならその仕組みに巻き込まれ依存することで、私たちの立場は非常に危ういものになっているから。“
交通手段が増え、インターネットが繋がり、距離や時間を超えて世界中を移動ができるようになった現代のライフスタイルの中で、グローバルに展開してゆくことや、欲望を原動力にして大きく拡大してゆくことについて、色々と考えさせられる一冊でした。
”若者たちに言いたいのは、まず人を責めることと自分を責めることを止めること。世界に満ち溢れた色んな問題は、あなたのせいでも誰か特定のせいでもないんだから。次に自分に通じる考え方や感じ方をもっている人に出会うこと。今の世界や社会に疑問を持っている人たち同士が繋がることが大切なんです。“