前回書いた坂本真綾さんのエッセイ「from everywhere」がとても良くて、今回こちらの「満腹論」も手に取ってみました。実はこの本の存在は結構前から知っていたのですが、なかなかにキャッチーなタイトルから、美食家の食い倒れ記録だろうか‥?と勝手に想像して少し敬遠していたのでした。しかし読んでみれば、そこはしっかり期待を裏切らない真綾さんらしいサービス精神と瑞々しい感性で切り取られた、彼女の普段の生活の中にあるキラリと光るカケラが、ぷっと笑えるエピソードとともに明るく楽しく描かれていました。読後感はまさに「満腹!」と言いたいくらい、温かいものが心の中に満ち満ちていました。
「満腹論」とあるだけに、本書は食べ物にまつわる彼女の思い出やエピソードが中心なのですが、彼女が普段何を大切にしながら生活をしているのかが垣間みれて、彼女のファンは勿論ですが、真綾さんを知らない人が読んでも、日常を豊かにする何気ない魔法がもらえるような、そんな1冊になっていると思いました。「満腹論」=「坂本真綾流幸福論」なのかな?、と読んでいてそんな風に感じました。
面白かったのは、時々盛り込まれている「え、真綾さん、そんな所で書いているんですか!?」と読んでいるこちらがビックリしてしまうような執筆状況エピソードでした。その内容が本書の空間に不思議な奥行きを作っていて、とても素敵なのです。真綾さんの作品の中で繰り返し語られている「その時しかない、今という瞬間」がこの本の中では沢山切り取られていて、坂本真綾さんの人生という旅路の途中に、短いお手紙をもらった様な、そんな嬉しい気持ちにさせてくれました。
最後に、個人的に気になったのは真綾さんの結婚式エピソード。菅野よう子さんが、一体結婚式で何をしたのか‥??いつかこのをエピソード詳しく知りたいです〜!(笑)