前回「シュナの旅」を読んで、改めて宮崎駿監督の思想を知りたくなってしまい、今回手にとった1冊「風の帰る場所」。当時雑誌「CUT」と「SIGHT」に掲載された宮崎駿監督の貴重なインタビュー5本がノーカットで集められた本書。最初のインタビューは1990年、「魔女の宅急便」がヒットし「紅の豚」がまだスタートしていない時期のものから、2001年の「千と千尋の神隠し」まで、約12年に渡って行われたというインタビュー。インタビュアーは、雑誌rockin’onやCUTなどの創刊者でも有名な渋谷陽一さん。
同じインタビューアーであるということで、間に時間は空いていても、インタビュー内容には常に一貫性があり(勿論、重複している所もあるのですが)、読んでいると、宮崎監督自身の思想的変化や作品テーマの変化が時系列で整理され、分かりやすい内容になっていました。(個人的にはちょっと強引な気もしましたが‥!)宮崎監督の非言語的思考を、インタビュアーの渋谷さんが言語化して分析して整理することによって、新たに宮崎監督から引き出されるエピソードやお話があって、会話は共同創造であるということに、改めて気付かされます。
今まさに漫画「ナウシカ」を読んでいる途中の私は、インタビューの中に自然農法の父・福岡正信さんの名前が出てきて、大興奮でした(笑)でも、ただの「エコロジーな宮崎駿監督」にはならなかった背景を、もう一度作品を最初から時系列に鑑賞して理解してみたいと、このインタビュー集を読んで改めて感じました。