昨年出版されたSEKAI NO OWARI のSaoriさんこと、藤崎彩織さんの初のエッセイ集「読書間奏文」。前回読んだ彩織さんの初小説「ふたご」で、その文章のうまさにびっくりしてしまった私は、より個人的な視点に触れられるエッセイに興味津々。今回こちらを手にとってみました。
本書には文學界での連載に加えて2本の書き下ろしが加えられています。彩織さんが読んだ「本」を通して綴られる、これまでの人生の数々のターニングポイントたち。バンドのこと、女性であること、母親になるということ、お金のこと、家族のこと、「わたし」という存在について‥。感受性豊かな心と、飾らない視点から見た世界を、分かりやすい文学的表現で綴られた文章たちは、プライベートな内容でありながらも読み手の視点を常に意識した冷静な距離感がとても印象的でした。(これについてはエッセイ「ひとりの時間」に書かれていた内容を読んで、なるほど‥!と感じました)
文章量も決して多くはなく、気軽にも読めるのですが、それぞれの文章には、ぎゅっ!と凝縮された強いエネルギーが内包されていました。前回の小説も5年の歳月をかけて書かれていましたが、このエッセイ1本書き上げるのにも、数十時間もの時間を要したとのことでした。「ふたご」を読んだときにも感じたのですが、その「時間をかけて」配置され、丁寧に磨かれた言葉たち一つ一つには、まるで血液が隅々にまで流れているように感じられました。「時間をかけること」「エネルギーを集中して真摯に注ぐこと」は、「命そのものを傾けた創造」であるのだということ。誠実に命を燃やしている人の言葉は、美しいです。
”私は何をやっても中途半端だ。そう思うからこそ、努力する事に怯えなくていいということが分かったのもこの1年半の間だった。才能のある人が一時間で出来ることを自分は十時間かかっても出来ないのなら、百時間かけてもいい。失敗しながら幾らでも頑張っていい。だって自分は天才ではないのだから。そう思うことが、自分なりの進み方なのだということがよく分かった。”
「読書間奏文」あとがきより
読書間奏文 – 藤崎彩織
▶まえがきに代えて綴られた「本との関係性」は、読んでいて胸がぎゅっとなってしまいました。
ふたご – 藤崎彩織
▶ポップでありながらも重厚な作りになっていた、こちらの小説も面白かったです
Eye (初回限定盤)- SEKAI NO OWARI
▶今月末の発売が今から楽しみなセカオワ約4年ぶりの新作アルバム2枚
Lip (初回限定盤)- SEKAI NO OWARI
▶タイトルの「Eye=愛」「Lip=R.I.P. (rest in peaceの略で、 ご冥福をお祈り致します、の意)」で、テーマは愛と死かな??なんて勝手に想像しておりますが‥!