以前新聞で、人に紹介したい本ランキングの1位として紹介されていた本書「舟を編む」。まだ観ていませんが、映画にもなっていますよね。2012年の本屋さん大賞1位でもあり、とても気になったので、今回手にとってみました。
辞書の編纂に関わる人々の、不器用だけど愛らしい物語。「言葉」を扱う仕事に関わる人々の、「言葉」を大切にしながらも、「言葉」を介さない静かで優しい心のやり取りが、とても印象的な作品でした。
もはや分厚い辞書などを手に取ることも殆どなくなってしまいましたが、学生時代に当たり前のように使っていたあの辞書は、沢山の人たちの労力と情熱と時間が注ぎ込まれた、命の結晶だったのだと、今更ながら気付かされました。
日々何気なく使っている「言葉」そのものも、先人たちの命の結晶であり、長い長い年月を超えて伝達され、変化し、生き続けて来た「言葉」を使う私たちは、決して「今」「1人」でここに生きているわけではなく、遥か古の時代から生きて来た人々と織り重なるようにして生かされているのだということに、何だか胸が熱くなりました。
目には見えない、既に旅立った無数の命の輝きと、数えきれないほどの時間の上にある私たちの命は、本当に沢山の愛の上に在るのだということ。
静かなるバトンは、実は既に手渡されていたのだと、そっと教えてくれるような、そんな優しいお話でした。
舟を編む – 三浦 しをん
▶不器用だけども真っすぐな人たちの一生懸命な姿が、読んでいて明るい気持ちにさせてくれます。架空の辞書「大渡会」が欲しくなります!
映画「舟を編む」
▶小説では「女版高倉健さん」と称されていた香具矢ちゃん役を、宮崎あおいちゃんが演じています♬