韓国でイラストレーターをするク作家さんが書いたエッセイ本「それでも、素敵な一日」。
2歳で聴力を失った著者は、聞こえない自分自身の代わりに色々聞いて欲しいという思いから、「ベニー」という大きな耳を持ったうさぎのキャラクターを作ったそうで、本書ではそのベニーが語り部として、ク作家さんの見たり感じたり考えてきたことを教えてくれています。
綴られた言葉の量は多くないのですが、本書で開示しているク作家さんの心のうちは、正直で誠実でまっすぐなものばかり。
明るい前向きな言葉もあれば、迷う心や、悲しみや絶望感、不安も飾らずにそのまま語られているので、読んでいると、自分の中に隠し持っていた色んな感情を掬い上げてくれ、優しく抱きしめてもらったような、そんな不思議な安心感を感じました。
人の心の芯を温めるものは、いつだって、素朴でシンプルで正直な表現なのかもしれません。
ク作家さんは聴力だけではなく、視力も失うかもしれないという病の診断を下されたのですが、たくさんの葛藤の末、自身が持っているものを見つめ直し、やってみたいことをリストアップして、未来への希望に大きく心を開いていきます。
その姿に、読んでいる私は励まされるばかりでした。
スっと背筋を伸ばして、光が刺す方向に、一歩一歩進んでいきたいなと、心から思いました。
それでも、素敵な一日
▶︎ ク作家さんのインスタを見ると、ご結婚されて出産もされたそうです☺️✨