これまで味わったことのない特別な読書体験をした寺井暁子さんの本「草原からの手紙」。(感想はコチラ)あの作品を書く前にもう1冊出版されている本があることを知り、今回「10年後、ともに会いに」を手に取ってみました。
寺井さんのプロフィールを通して初めて知った、ユナイテッド・ワールド・カレッジの存在。現在は世界中に14校もあるそうですが(日本にもできたそうです)、寺井さんが通われたのはアメリカ校。多感な思春期に、80近い国々から集まった様々なバックグラウンドを持つ90人の同級生たちと寝食ともにしながら学ぶ2年間。なんて経験なのでしょう!
本書は、卒業後に世界各地へと散った、かつての高校の同級生たちを10年ぶりに寺井さんがたずねてゆく旅のお話。私の想像を遥かに超えた、様々なバックグラウンドを持った、寺井さんのかつての同級生たちの10年後の多様な生活の様子。彼らをたずねる旅は、まるでいくつもの異なる次元世界をワープしているようでした。
さまざまな土地でそれぞれの人生を生きているかつての同級生や、旅を通して新しく出会った人達、文化や言語、習慣や価値観、社会情勢や社会的立場、経済状況も全く異なる、その1人1人とまっすぐに向かい合いながら、その人たちの生を全身で受け止めてゆく寺井さんの姿勢そのものが、まるで平和の象徴のようにも感じられました。
私たちを隔てているもの、そして繋げているものは一体何なのか。そのことについて、改めて考えたいなと思ったのと同時に、私も世界中にいるかつての同級生たちに、会いに行きたくなりました。
寺井さんの本は、クルミド出版より購入できます。「草原からの手紙」もお薦めです!