3.11の地震後、自らの仕事の意義を問い直してきたという、建築に関わるお仕事をしている女性4人によって結成された「つなが〜るズ」。痛まずに丈夫で長持ちする、いわゆる「腐らない家」が「いい家」だとされる現代の価値観に疑問をもったそうです。本書で紹介されている、人と人、人と自然が共生する10の暮らしは、自分にも人にも他の生き物にも環境にも優しい暮らしとは一体どんなものだろう?と、摸索している私としては、とても興味深い内容となっていました。
環境に配慮しながら土に還ってゆく素材を使い、ゆくゆくは朽ちて自然へと戻ってゆく家。家は完成されたモノではなく、そこで暮らす人々の生活とともに変化してゆくもの。そして暮らしを構成しているものは、家だけではなく、人と人との繋がりや、目には見えないさまざまな要因によって構成されている、ということ。
さまざまな価値観を持っている方々がそれぞれ実践されている多様な家の在り方。「何を選ぶのか」よりも恐らく、「自分で選ぶ」ことがそれぞれにとって一番大切なことなのかもしれないなと、改めて読んでいて感じました。そして「時間をかける」ということが、いかに私たちの人生を豊かにしてくれるのか、ということも、改めて感じました。
「くさる」は熟成。
手をかけて暮らすことで味わいが深まる家。「くさる」は朽ちる。
土と水と空気を汚さずに立てられて、最後はひっそり土に還る家。「くさる」は鏈る。
人と人とが鏈のようにつながって、人が人らしく生きられる家。