クリエイティブとはなにか?オリジナリティとはなにか?
本書は、ジブリの鈴木プロデューサーに弟子入りした川上氏がジブリで考えたコンテンツ論をまとめたものです。ひとつひとつ考え、自分の中で答えを出してゆく彼の書き方は、言葉の上で考えてゆく思考法だったので、正直に言うとちょっと私には所々スっと入って来ない箇所があり、何度か読み返して、「あっこういうことかな??」と、読み進めていった感じでした。
コンテンツとは、クリエーターによってビジョンを再現したものであり、「遊び」をメディアに焼き付けたもの」と定義した川上氏。勿論、あらゆることはそんな風に定義することはできないのだろうとは思うのですが、敢えて言語化できないものを捉えたい、言語化したい、言語化しよう、という作者の熱い想いが、本書を通して突き抜けて伝わって来ました。恐らくこの本は、クリエーターじゃない川上氏だから書けた内容だったのかもしれません。
川上氏の視点を通して、ジブリの内部の様子や、鈴木氏や宮崎監督、高畑監督らの魔法の後ろにある、彼らの哲学を垣間みることができて、ジブリ好きにはとても面白かったです。そこには、もし自分だったら、ちょっとバラして欲しくないかも‥!と思う様な種も隠れていて、読んでいて少しだけヒヤヒヤしつつ‥! でも、一読者としては読んでいて、「やっぱりそうか」「そこ大切にしてたのね」と発見&楽しめて、とても面白かったです。賛否両論あるとは思いますが、作者のまっすぐな思いや姿勢、情熱、そして言語化する葛藤が感じられる意欲作であると思います。