本旅

Travel in Books

  • HOME
  • ARCHIVE
  • ABOUT
  • CONTACT
  • privacy policy

105. ひとめあなたに…

11月 13, 2019

約20年前に読んだ「チグリスとユーフラテス」というSF小説が面白かったことを、ふと先日思い出しました。新井素子さんの作品はそれ以外は読んだことがなかったので、他にはどんな作品を書いている方なのかな‥??と、気になって、今回こちらの本「ひとめあなたに…」を手にとってみました。

ストーリーは、隕石によって地球が滅びる前の、最後の1週間のお話。世界の滅亡が1週間後に迫っていると知った人々は、様々な選択をしてゆく‥。色んな形で人々が狂ってゆく姿は多様で、「生きる意味とは?」という疑問を、彼らの姿とともに考えさせられます。

新井さんの独特な会話口調で書かれた文章スタイルは、「チグリスとユーフラテス」の頃と変わらず、読者層を大きく選んでしまうかもしれませんが、軽妙な文章のリズムには、一気に読ませてしまうパワーがあります。少女漫画的な描写も少なからず入っているので、一見するとライトノベルのような括りにされてしまいそうですが、そこに描かれている内容は普遍的で骨太な私たちの生に対する問いと、冷静な眼差し。あとがきを読んでビックリしてしまったのは、この作品が書かれたのは、新井さんが二十歳の時だったという事実です。高校生で作家デビューされたそうですが、いやはや、底知れぬ才能です。他の作品も益々読んでみたくなりました‥!

 

 


ひとめあなたに… (創元SF文庫)-新井素子
▶色んな狂った人たちが出て来たり、世界は滅亡するのですが、生を肯定的に捉えたストーリーなので読後感のよい作品です。

 


チグリスとユーフラテス上下-新井素子
▶こちらも惑星滅亡系ですが、「ひとめあなたに…」から14年後に書かれた作品なので、ラストシーンは一歩先をゆく描写です!

 


メランコリア
▶恐ろしいほどキワキワの美しい映像美と音楽で描かれた地球滅亡のお話で、一見すると「ひとめあなたに…」とストーリーが似ていますが、監督の意図通りに希望のストーリーと取るか、はたまた絶望のストーリーと取るかは、意見がパックリと割れる衝撃作品です!

 
 
 

097. 82年生まれ、キム・ジヨン

8月 15, 2019

今回初めて読んだ韓国の小説「82年生まれ、キム・ジヨン」。フェミニスト小説だと知らずに手にとったのですが、韓国ではベストセラー、世界各国でも翻訳刊行されている話題の1冊だそうです。

1人の女性の病院のカルテを淡々と読み上げる手法で描かれた本書は、静かに、主人公キム・ジヨン氏がこれまでの人生で経験して来た、数々の性差別体験を明らかにしてゆきます。読みながら、お国は違えど同じ女性として、「ああ、私も似たような経験があるな」と感じることもしばしばでした。日常生活に潜む何気ないやりとりや習慣の中にも、根深くある性差別文化。その時は嫌だなと感じたり、これはおかしいなと感じていても、何となく言えなかったり、状況や雰囲気が許されず、うやむやになってきた性差別体験にも、作者はキム・ジヨン氏というキャラクターを使って冷静に言語化し、「それは、おかしいと言っていいのですよ」と、そっと優しく伝えてくれています。

本書は、医師が患者のカルテを書くスタイルで描かれていますが、処方箋は書かれていません。誰かを批判することも解決することもなく、ただただ、淡々と、そこに根深くある性差が描かれています。

これは性別の問題だけに限ったことではないと思うのですが、長い歴史と文化に深く根付いているあらゆる「差別」という名の「ものの認識の仕方」は、決して「誰か」や「何か」だけが、全ての責任をとれるわけではないのだろうと思うのです。この女性差別問題にしても、一概に、男性だけが「加害者」だとは言い切れないのではないかな、と、私はどうしても感じてしまいます。女性も男性も、ある意味では、プログラムされた歴史的記憶の犠牲者でもあるのかもしれません。

本書は、私たち1人1人の中にある、無意識に帰属する社会の中で刷り込まれてきた「性別」に対する歴史的な記憶を指摘し、読者の性別がどちらであれ、私たち自身がそれらを自ら手放すことができることを、静かに示唆してくれているようでした。

 

 

82年生まれ、キム・ジヨン
▶ 韓国の歴史や文化も知れて、とても興味深い1冊でした

 

 

折りたたみ北京 現代中国SFアンソロジー
▶ 初めて英語圏に紹介された現代中国のSF短編集。こちらも同じ時代に中国で生きている人々の命が感じられて、とてもとても興味深かった1冊です。もっとアジア圏の作品が読みたくなります

 

 

ホ・オポノポノジャーニー ほんとうの自分を生きる旅
▶本書を読んでいて思い出したのは、ハワイの秘法ホ・オポノポノ。それぞれが自分の記憶を1つ1つクリーニングしていき、1人1人が自らの心に平安を見出せたら‥。ホ・オポノポノについては、この平良アイリーンさんの本とともに、ヒューレン博士やKR女史と、ウニヒピリを合わせて読むのが個人的にはオススメです◎

 

 

062. 11分間

6月 15, 2018

 

本国ブラジルでは教科書にも作品が載っているという世界的にも有名な作家パウロ・コエーリョ氏。以前読んだ彼の「アルケミスト」や「ピエドラ川のほとりで私は泣いた」が大好きだったので、マーマーマガジンのセックス特集で彼の「11分間」が紹介されていたのを見つけたときには、迷わず読んでみたい!と思いました。

本作は娼婦となった主人公マリーアの人生における愛と性の物語なのですが、彼女が幼少期や思春期に経験した愛や性の体験が、その後の人生のさまざまな選択に大きく影響を与えていく様子や、なぜ娼婦になり、どんな風に自分を律しながら日々を過ごしているのか、その時々の彼女の心理描写がとても丁寧に描かれているので、同じような経験をしていない読者も、普遍的な1人の人間としての葛藤、孤独、渇望などに、親近感を抱きやすい内容となっていると思います。途中何度も出てくるマリーアの日記の内容や、娼婦として働きながら気付く発見、人々と交わすウィットにとんだ会話の仕方からにじみ出てくる、彼女の知性も個人的に素敵だなと感じました。様々な出会いや経験を通して、1つ1つ過去を許したり自分を開放し変わってゆくマリーアの様子から、人は「何処で何を経験するのか」よりも、その経験から「何を学ぶのか」のほうが重要なのだということが伝わってくるようでした。

正しさや間違いもなく、また正義も悪もない世界の中で描かれた、人生の「光」の部分や、セックスが持つ「聖なる部分」はとても美しく、決して読者を裏切らない物語の結末は、読者の気分を最高の場所へと連れて行ってくれます。更に本編を読み終わった後に、あとがきに書かれている本書制作の経緯や背景などを知ると、更にストーリーに奥行きが出て満足感がアップします。さすがパウロ氏、読者がどうすれば喜ぶのかをちゃんと知っています!

 

 

11分間 (角川文庫)
11分間 (角川文庫)
▶マニュアル化された体位や挿入という「形」じゃない、パウロさん流の聖なるセックスへの誘い。主人公マリーアの内的成長の物語でもあります。サクっと読みやすく、読後感も良い恋愛小説。

 

ピエドラ川のほとりで私は泣いた (角川文庫)
ピエドラ川のほとりで私は泣いた (角川文庫)
▶「 久しく恋愛をしていない‥」「自分の気持ちに素直になりにくい‥」そんな心をフワっと優しく包んでくれる様な物語です

 

060. マーマーマガジン 第17号

5月 25, 2018

大好きな服部みれいさんが編集長をつとめる不定期刊行の「マーマーマガジン」。昨年からバックナンバーを少しずつ集めているのですが、読者の個人的な幸せを応援してくれる衣食住やスピリチュアルにまるわるディープな特集は、毎回普遍的なテーマを扱っているので、今読んでも決して色褪せない内容で魅力的です。
みれいさんが「恋愛呼吸」をしてすぐに現在の旦那様と運命的な出会いをしスピード結婚された、というビックリエピソードにとっても興味津々!ちょうどお2人が出会われたときに作られていたのが、このセックス特集の刊であったと知って、今回手に取ってみました。

以前に読んだ「マグダラの書」というビックリチャネリング本で紹介されていたイシスの性魔術や、「アナスタシア」シリーズ本に書かれていた(今回のマガジン裏表紙にも一部引用が載っています。下記画像)、性欲の結果としてではないセックスを介した愛の空間の作り方、そして「あるヨギの自叙伝」に書かれていたヨガナンダ氏の両親が子づくり以外で普段セックスをしなかった、というエピソードから、性エネルギーと聖エネルギー、そして人が持つ創造性との関係性について、とても興味を持っていました。

 

社会に刷り込まれた「セックスとはこういうもの」という呪縛から開放され、それぞれが自分に合った幸せな形でセックスとつき合えるよう、パートナーがいる人もいない人も楽しめる色んなアイディアや考え方がポップな語り口調で掲載されています。紹介されていた、大らかな性をもっと知るための本たちも面白そうですし、みれいさんとマーマーガールズのぶっちゃけセックストーク、おっぱい体操、月経血コントロール、ちつ体操、そして噂の恋愛呼吸など、盛りだくさんな内容になっています。既にセックスやエロをエンジョイされている方にとっては、よりディープで楽しい世界の扉が開かれると思いますし、もし既存のエロ漫画やAV、メディアのセックス描写、男性性目線による消費を促したり不安をあおるような性特集など に違和感を感じていたり、セックスや性に対して恐怖感や罪悪感、嫌悪感を持っている方にとっても、新しい空気に触れられる1冊になっていると思います。

 

マーマーマガジン 第17号
マーマーマガジン 第17号
▶ 「聖なる性」へのアイディアがたっぷり♪

 

ツインソウル―なんのために双子の魂はめぐり逢うのか (5次元文庫)
ツインソウル―なんのために双子の魂はめぐり逢うのか (5次元文庫)
▶ 聖なる性を体験する事と、ツインソウル(双子の魂)に出会う事とは関係しているの?「アミ 小さな宇宙人」の著者による愛の物語。

 
 

051. ふたご

5月 13, 2018

最近ひょんなことから知ったSEKAI NO OWARIの音楽。食わず嫌いだったのが、一気に彼らの音楽が持つ独特な魅力に惹かれてしまい、彼らのことがもっと知りたい!と今回手に取ったのが、メンバーのSaoriさんが本名藤崎彩織さん名義で書いた小説「ふたご」。実体験をベースに書かれた小説であると言われている本書の内容は、ヴォーカルのFukase さんとSaoriさんのこと??と想像せずにはいられない内容なのが、セカオワルートから入った読者としてはたまりません。初作品とは思えない程上手な文章でとても読みやすく、一気に読んでしまいました。

この物語に出てくる主人公夏子と月島の二人の関係性は、俗にいう、好きだ恍れた、愛してる、つき合おう、別れよう、という若いカップルの恋愛のお話ではなく、多感な時期に出会った感受性豊かで繊細な2人が、プラトニックなまま境界線が危うくなるほど、互いの存在が自分の命のように繋がってしまった後、この世界で互いを生かし合いながら、一緒に生き続ける方法を、摸索していく愛の物語のように感じました。既存の社会的関係性の名前が付けられない特別な2人の関係性。周囲の人達の眼には理解しがたく、時には奇妙にさえ見える関係性。(本書の感想を検索したら、何故「ふたご」なのか理解できないという感想も多くて、びっくり!)お互い大切なのに、あまりにも大切すぎて大切にする方法が分からず、時に深く傷つけ合い、一緒にいることさえ苦しくなってしまう。自分達でもどうしたらいいのか分からない程離れがたく、魂が結びついてしまった関係性。

本作に書かれた内容すべてが本当にあったエピソードかどうかは永遠に秘密だとは思いますが、「実話をベースにした小説」として、わざと読者に「これって全部本当にあった話かな?」と興味をそそらせたり、想像を楽しませるエンターテイメント作品だと感じました。最終的にSEKAI NO OWARIのファンタジーへと回帰して行く装置として機能している、面白い小説です。

世の中の「普通」というレッテルに収まらない2人の関係性が、その後どのようにこの世界で生き抜いてゆくのか。いつか何十年も先に、この「ふたご」の続きのストーリーが読めたらいいなぁ、とそっと期待してしまいました。

 

 

ふたご
ふたご
▶ 愛って何?主人公夏子と月島の二人が辿り着いた現在進行形の答えは二人にとっての正解であり、そこにはハっとする美しさが宿っていました。

 

SEKAI NO OWARI―世界の終わり
SEKAI NO OWARI―世界の終わり
▶ 公式ヒストリーブックではSEKAI NO OWARIメンバー4人の生い立ちも!

 

022. 嫁いでもオタクです。

8月 09, 2017

 

前回に引き続き、今回もカザマアヤミさんの漫画です。前回の「恋愛3次元デビュー~30歳オタク漫画家、結婚への道。~」は、旦那様であるエロ漫画家の紺野あずれさんとゴールインするところまでが描かれていましたが、今回の「嫁いでもオタクです。」は、その後の結婚生活が描かれているというので、気になって手に取ってみました。前回もパワフルなネタのオンパレードだったのですが、今回は更にヴァージョンアップ。個人的にアテクシは、ちょっとビックリを通り越して、まるで宇宙で起きている出来事のように、途中脳内が処理しきれない事態が…(笑)

旦那様の影響で、かなり日常生活の隅々までエロ会話が浸透している様で、アテクシにとってはまさに異空間への旅でした(笑)お二人の幸せな共通言語がディープすぎて、きっとエロ漫画の元ネタが分かる人には、面白いネタなんだと思うのですが、アテクシには所々ちょっと外国語のように聞こえて来たり…(笑)

他の方がレビューでも描かれていましたが、「最近は漫画家さんでない一般の方が体験記を漫画で描く、といったものが多くあるけれど、やっぱり本業が漫画家さんが描く体験記は、違う!」と。私もカザマさんや御手洗さんの漫画を読んでそんな風に感じました。絵にしてもストーリー構成にしても、漫画という言語の中で、ご自身の経験をエンターテイメント作品に昇華するプロ技は本当に素晴らしい‥!可愛く丁寧に描かれた絵柄と、包み隠さず率直にご自身の経験を表現されている姿、そしてエンターテイメント作品としてまとめあげる力、それらのバランスが本当に絶妙で、他に類を見ないスタイルをカザマさんは持っていらっしゃると、改めてその才能を感じた作品でした。

 

 

嫁いでもオタクです。
嫁いでもオタクです。
カザマ アヤミ
双葉社
▶ 結婚後、旦那様とエロ会話に盛り上がるカザマさん‥!

 

はつきあい 1巻
はつきあい 1巻
カザマアヤミ
スクウェア・エニックス
▶ そんなカザマさんの本業の作品はこちら★

 

 

 

021. 恋愛3次元デビュー~30歳オタク漫画家、結婚への道。~

8月 08, 2017

 

御手洗直子さんのオタクの婚活漫画「31歳BL漫画家が婚活するとこうなる」が面白すぎて、Amazonのおすすめ欄に出て来た漫画家カザマアヤミさんの婚活漫画「恋愛3次元デビュー~30歳オタク漫画家、結婚への道。~」も思わずポチっとしてしまいました(笑)

勿論「オタク」「漫画家」「アラサー」とキーワードが重なっても、そこは全く別の恋愛ストーリー。カザマさんのお話もまた別の意味でパンチがあって面白かったです! 御手洗さんはBL漫画家さんでしたが、こちらのカザマさんは清純派の漫画家さんとのことで、女子校育ち、2次元妄想と共に30歳まで男性とお付き合いもしたことのない方だったそうです。そこから手探りで出会いを求め、現在の旦那様であるエロ漫画家の紺野あずれさんと結婚するまでの道のりが赤裸々に綴られています。「えー!そ、そこまで描いてしまわれますかー!」と、思わずカザマさんの担当者さんと一緒にツッコミを入れてしまいたくなる程、仰天&珍エピソード(しかしどれもピュアな動機によるもの‥笑)が次々と飛び出してきます。色んな意味で強烈です!(笑)

御手洗直子さんのお話にしても、カザマアヤミさんのお話にしても、お互いに似た周波数の旦那様と自然と(?)ご結婚されている様子に、読んでいて何だか心がホッコリしました。人1人が生きるという事は、本当にドラマティックなのだなと、カザマさんの漫画を読んでいて改めて感じました。日常に退屈されてて新しい世界を覗きたかったら、是非!

 

 

恋愛3次元デビュー~30歳オタク漫画家、結婚への道。~
恋愛3次元デビュー~30歳オタク漫画家、結婚への道。~
カザマアヤミ
双葉社
▶ 担当さんに「ピュア痴女」と任命されたカザマさんの珍エピソードの連続!

 

私立はかない学園 コミック 1-5巻セット
私立はかない学園 コミック 1-5巻セット
紺野あずれ
双葉社
▶ 旦那様はパンツはかない学園で有名なエロ漫画家の紺野あずれさん。パンツはかないんですね…

 
 

020. 31歳ゲームプログラマーが婚活するとこうなる

8月 07, 2017

前回ご紹介した、ご自身の婚活経験を描かれた、御手洗直子さんの「31歳BL漫画家が婚活するとこうなる」 があまりにも面白かったので、旦那様(トリ肉という名前で呼ばれてます)サイドの漫画「31歳ゲームプログラマーが婚活するとこうなる」も今回読んでみました。
ご自身の経験ではなく、旦那様からお話を伺って描かれているので、これまでの御手洗さんの漫画のような鋭いキレ味(?)やツッコミのシャープさは無く、旦那様への優しい愛情が感じられる、ホッコリ作品でした。

旦那様のトリ肉さんサイドの婚活ストーリーは、男性目線のさまざまな経験がとても新鮮で、御手洗さんの視線を通した旦那様の温和な人柄も印象的でした。

 

2011年に結婚されるまでの旦那様の活動内容

活動期間:5年

使用婚活サイト:4つ

メールやり取りした人数(人工メール含めて):1000通超

ちゃんとやりとりした人:30人くらい

2回目のデートまでいけた人:10人くらい

つき合った人数:5人

 

5年に渡る様々な経験の末に、奥様の御手洗さんと出会えたとのこと。本当によかったですね‥!

自分を変えようと頑張り続けた旦那様のトリ肉さんでしたが、最終的には、似た様な(?)周波数の奥様と仲良くなり惹かれ合う自然な流れ(?)に、何だか読んでいてハートが温かい気持ちになりました。

 

 

 

31歳ゲームプログラマーが婚活するとこうなる 31歳BLマンガ家が婚活するとこうなる
31歳ゲームプログラマーが婚活するとこうなる 31歳BLマンガ家が婚活するとこうなる
御手洗直子
新書館
▶ 珍しい男性視点の婚活ストーリー!

 

脱オタクファッションガイド 改

 

脱オタクファッションガイド 改
トレンド・プロ
オーム社
▶ トリ肉さんも参考にしたという参考本★

 
 

015. 31歳BL漫画家が婚活するとこうなる

8月 01, 2017

 

 

ひょんなことから偶然Kindle Unlimitedで見つけた本書「31歳BL漫画家が婚活するとこうなる」。「婚活」「BL漫画」「アラサー」という単語が3つも重なると、一体どうなるっちゃうの?!という純粋な興味が湧きました。笑
覗いてみたらレビューがとても良かったので、気軽な気持ちで読んでみたのですが、これが、とっても面白かったです!

「元々同人誌にハマる前は成績も良かった」というエピソードもあるとおり、作者の御手洗直子さんは、きっと頭の良い方なのだろうな〜と感じる場面が、本書を読んでいると何度もありました。これだけご自身の経験を、客観的にネタとして扱い、笑いとポジティブなエンターテイメント作品に昇華できるポップな才能に脱帽です!

ストーリーは31歳で長年つき合っていた彼と別れ、すぐにネット婚活を始めたという御手洗さん。元々引きこもりの自称BL漫画家だといい、それが故に婚活中に直面したエピソードがとても面白くて、面白くて。これまでの御手洗さんの人生が、自分の情熱に忠実にしたがって生きて来たからこそ、婚活中に直面するあらゆる選択肢の軸をしっかりと「自分自身」に置いて冷静に判断することができたのだろうな、と感じました。そこには悲壮感も情緒も無く、「婚活」や「目的」に対して非常にサッパリ(?)している様子がとても清々しかったです(笑)

決して読者が婚活中でなくても、BL漫画が好きじゃなくても、アラサーじゃなくても、この作品に流れている、何とも言えない明るさと、人生に対するポジティブなエネルギーは、読んでいる人を明るい気持ちにさせてくれるだろうと思います。

それは、「正しく在る」とか「誰か他の人のように生きる」のではなく、あくまでも自分自身を大切にながら楽しそうに生きている御手洗さんの様子が垣間みれるからだろうと、アテクシは思いました。

▶ 現在この作品は、30日間無料で登録ができる Kindle Unlimitedでも読めます★
 

31歳BLマンガ家が婚活するとこうなる
31歳BLマンガ家が婚活するとこうなる
御手洗直子
新書館
▶ 婚活や人生の息抜きにぴったり★

 

31歳ゲームプログラマーが婚活するとこうなる
31歳ゲームプログラマーが婚活するとこうなる
御手洗直子
新書館
▶ まさかの旦那さんヴァージョンも!

 
 

012. マチネの終わりに

7月 10, 2017

 

本当に、久しぶりに小説を読みました。私にとって平野 啓一郎さんの作品は今回が初めてです。以前、この作品がnoteで連載中の頃、よくコルクのツイターから流れて来ていたことで知ったのですが、その時イラストを担当されていた石井正信さんの絵が毎回とても印象的でした。

 

 

 

当時さくっと読んだ際、イラストのイメージも手伝ってか、そこにあった文章の難解さと湿度が私には少し重たく感じられてしまい、リアルタイムで連載を追いかけることができなかったのを覚えています。

その後書籍化されて暫く経った頃に、ふと立ち寄った本屋さんでこの本を見かけたのですが、その美しい装丁にうっとりしてしまいました。このありそうでなかった、2色使いのシンプルかつ大胆で洗練されたデザインに強く強く心惹かれ、思わず本をレジに持って行ってしまいました。後で知ったのですが、連載当時イラストを描いていた石井正信さんがブックデザインも手がけられたとのこと。これまた彼が持つ表現力の奥行きの深さに感動してしまいました。

本書を読み終わった私の感想としては、まず、「こんな綺麗な物語、読んだことがありません〜!」でした(笑)note で読んだ際に感じた、あの、じとっとした湿度や重さは、印刷された本からは感じられず。つくづく、レイアウトや媒体、フォントや縦横書き、デザインなどなどが、読み手へ与える影響の大きさを考えずにはいられませんでした。デザイナーの石井正信さんもそこを理解して敢えて、デジタル配信時と書籍化の際、別々のアプローチで制作されている様子をインタビューで語られていました。

とにかく、文章も話の内容も装丁もとても美しい本です。私にとっては、映画「君の名は。」や「ララランド」と同じように、私たちの中にある「ステレオタイプ」や「現実に対する思い込み」「諦め」のようなストッパーを外して、「望めば君もこんな風に美しく生きる事は可能なんだよ」という作者の強い、意図を感じました。

そして装丁の2色の色から、メインキャラクターの二人の距離感を、絶妙に表しているように感じました。同化したり色が混じり合うわけではなく、異なる人生を歩んで来た自立した二人が惹かれ合い、そのままの状態で、そっと重なる様子が、美しい(笑)

多くの人が、どこかで、経験しているかもしれない「何も起きていない」けれど、確かに「起きている」こと。無かった事にしてしまうくらい、とても繊細なこと。ただ「出会ったこと」それ事態が持つ大きなインパクト。そして人が惹かれ合うのに必要なものは、いったい何なのか。繊細な、眼には見えない、人の心の内側で起きている動き。本書の登場人物達の様に、こんなに大量の思考や感情があふれている人達も、もしかしたらそう多くないのかもしれませんが(笑)それでも、彼らの内側で起こっている出来事は、多くの人達の中に眠る「何事か」を呼び覚ましてくれるには充分すぎる程美しく、人生を豊かに彩ってくれる美しい絵の具の様な、そんな本だと感じました。

他の人もレビューで書いていましたが、手元に置いて何度も読みたくなる美しい本だと思いました。

 

 

マチネの終わりに
マチネの終わりに

 

平野 啓一郎
毎日新聞出版
▶ 大人の綺麗な恋の入り口はコチラ

 

道ありき―青春編 (新潮文庫)
道ありき―青春編 (新潮文庫)
三浦 綾子
新潮社
▶昔読んだ、もうひとつの美しい愛の形

 

  • 1
  • 2
  • Next Page »

ponponhimiko

本はまるで旅のようです。それぞれが残した人生という旅の足跡。同じ時代を生きる人も、もうこの世にはいない人も、本を通して時空を超えて交わってゆく。彼らの目を通して見た世界の姿は本当にカラフルで、世界の多様性の美しさを教えてくれます。本が集まる場所が好きで、ジャンルは雑食ですが、スピリチュアル色強めです。

サイト内検索

categories

  • SF
  • アート
  • エッセイ
  • クリエーター
  • コンピューター
  • スピリチュアル
  • セルフヒーリング
  • パーマカルチャー
  • ファッション
  • ヘルスケア
  • ボディ
  • ライフスタイル
  • 働き方
  • 児童文学
  • 占い
  • 占星術
  • 宇宙人
  • 家
  • 小説
  • 建築
  • 引き寄せの法則
  • 性
  • 恋愛
  • 旅行記
  • 漫画
  • 潜在意識
  • 生き方
  • 絵本
  • 自伝
  • 自己啓発
  • 農
  • 音楽
  • 食

recent posts

  • 110. セス・ブック 個人的現実の本質
  • 109. 幸せになる医術 女性のためのもっとちゃんと「冷えとり」生活
  • 108. 舟を編む
  • 107. 大地がよろこぶ「ありがとう」の奇跡
  • 106. かもめのジョナサン完成版
  • 105. ひとめあなたに…
  • 104. ヤナの森の生活
  • 103. 未来を動かす
  • 102. レンタルなんもしない人のなんもしなかった話
  • 101. 借金2000万円を抱えた僕にドSの宇宙さんが教えてくれた超うまくいく口ぐせ
  • 100. 超常戦士ケルマデック
  • 099. 超直感力
  • 098. 働き方1.9 君も好きなことだけして生きていける
  • 097. 82年生まれ、キム・ジヨン
  • 096. さざなみのよる
  • 095. ウチら棺桶まで永遠のランウェイ
  • 094. AQUí
  • 093. 愛を味方にする生き方
  • 092. 地球星人
  • 091. 「違うこと」をしないこと

tag

BL あなたもできる おすすめの本 お金 アラサー エネルギー オタク クリエーター ゲイ ヒーリング ポップな生き方 人生は美しい 他の眼鏡で日常を見てみる 働き方について知る 優しい視点 元気になる 地球には飽きた 多様性 夢を叶えたい! 婚活 宇宙の力 引き寄せの法則 息抜き 愛とは 才能に触れる 新しいアイディアに出会いたい 新能力開発 日常に退屈中 楽しみたい! 気軽に読める 波動を高める! 浄化 理想の恋を探して 生きる知恵 生き方について考える 男と女 異世界への入り口 笑いたいのダッ! 結婚 美しさに触れたい 自分らしく 自然 自由に生きる 軽やかな気持ち 音楽

All Rights Reserved ©2019 ponponhimiko