服部みれいさんが、雑誌「天然生活」で連載していたコラム「みのむしダイアリー」をまとめた1冊。約2年分のみれいさんの岐阜県美濃での移住生活を綴った日記と書き下ろしコラムを読むことができます。
今回この記事を書くにあたって色々と調べておりましたら、なんと、本書の出版元でもあり、雑誌「天然生活」の出版社でもある地球丸さんが今年2月27日に倒産したとのニュース‥。この「みの日記」が2月27日販売でしたし、2月20日に発売だった雑誌「天然生活」4月号にはしっかりと次号の予告が掲載されていたそうなので、確定申告前の突然の倒産と廃刊という運びだったのでしょうか‥。
みれいさんは今回の出版にあたって、「全部書き直したかったいくらい」という風に発言されていましたが、現在進行形で体験していることを正直に言語化し、しかも情報が固定化される「紙」という媒体を使って発信し続けることの勇気と難しさを、個人的には感じました。
みれいさんは、これまでもそうですが、これからも様々な体験を通して、感じ考え続け、そしてヴィジョンも夢も理想も「変わり続けてゆく(進化し続けてゆく)」のだろうと思います。紙に印刷されたみれいさんの言葉を「永遠の誓い」のよう捉えるのではなく、ここに書かれている内容は、「かつて」のみれいさんの真実であり、既にその経験が血となり肉となった「今」のみれいさんではない、ということをしっかりと読者の私たちが認識することで、より楽しむことができる読み物なのではないかな、と感じました。
もう1つ、読みながら私が個人的に感じたことは、ライフ「スタイル」それ自体が、私たちを幸せにするわけではないのかもしれない、ということでした。何を持っていても持っていなくても、何処にいても、何をしていても、私たちの「心の在り方」が、私たちを幸せにしてくれるのではないかな‥と改めて感じました。その「心の在り方」を自分で発見できるように、幸せを「感じやすくしてくれる」ツールや体験として、みれいさんはこれまで、冷えとりやホ・オポノポノ、アファメーション、アーユルヴェーダ、瞑想などを、そして今回の本では美味しい空気や水、食べ物を自分で育てること、自然の近くで暮らすことを、紹介されてきたのではないかなと思いました。
「都市→田舎への移住」は、みれいさんにとっての変化のプロセスですが、身体や心を浄化していった先に思い描くヴィジョンや夢や理想は、きっと1人1人違うものになると思うのです。みれいさんが提案しているのは決して「田舎暮らし」そのものではなく、「1人1人が自分自身で、自分の幸せとは何か?を知り、その幸せを自分の手で選び、自由に生きてゆくこと」なのだと改めて感じました。みれいさん自身が、その生き方を実際に体現している様子を記録されたのが、本書だと思いました。
“3年前、みれいさんは自分には「世の中をよくしたい」という「強欲」の心の冷えがあると話してくれました。その冷えも、だいぶ少なくなってきたといいます。
「前は、『意味のあることをしなきゃ』と生まじめでした。今は力が抜けて、いいかげんになったし、美濃の山と川、人に包まれて、毎日、山ほどの滋養をいただいて、少し謙虚になったかも。本当に”美濃さまさま“です」”「みの日記」 コラム2より- 服部みれい
みの日記 – 服部みれい
▶がん予防滞在型リトリート「リボーン洞戸」の船戸医師との対談も興味深かったです
天然素材2019年4月号
▶まさかの最終号となるなんて‥