時間、うまく使いたい…!(切実)
というわけで、他の時間術本とは一線を画した視点が面白いと評判の「YOUR TIME」を今回手に取ってみました。
本書曰く、「そもそも人間が時間を管理できるという発想それ自体が間違っている!」だそうで、その上で、自分が持っている気質(時間を認識するクセ)を理解して、時間と上手に付き合っていく方法を提案しています。
(未来と過去の時間認識タイプ・チェックシートは分かりやすく、それぞれの対策も取り入れやすいものとなっています!)
そもそも産業革命以前は、時計はほとんど意味を持たなかったそうで、人類が時間にこだわり始めたのは18世紀ごろのことだそうです。
資本主義の発達とともに「時間=金」という発想は少しずつ先進国の共通認識と化し、19世紀の初頭には、「時間の無駄」が金銭の浪費に等しい愚かな行為と考え始めました。「時間の有効活用」なる概念が始まったのも同じ時期で、多くの歴史家は、人々が時間と金銭を同一視し出したのが原因と考えています。
p.211
時間を”うまく使う”という考え方には根本的な問題があり、「時間をうまく使いたい」や「仕事の効率を上げたい」といった欲望そのものが、最後にはあなたの幸福と生産性を下げる方向に働きます。
p.208
くり返しになりますが、カレンダーやTo Doリストといった有名なテクニックは、あくまでも対症療法であり、私たちが抱くジレンマの根本原因を取り除けるわけではありません。いずれのテクニックにも、その背景には、私たちを「より速く」または「より多く」とうながす思想が存在するため、何も考えずに使い続ければ、最後は時間を搾り取られて終わるからです。
「時間をうまく使いたい」という欲望が内包している問題を明らかにしつつ、我々現代人が抱きやすい、何かに追われているかのような焦りや不安の感覚から脱却し、時間についての体質そのものを改善し、余裕や心の平安を取り戻すことを目指す本書。
科学的な裏付けのある具体的な解決策を掲載しつつも、「頑張らなくちゃ!」(鼻息荒い)という気持ちをそっと宥めながら、「そんなに頑張らなくてもいいんだよ」と言ってくれれるような、とても優しい視点を内包した1冊だと感じました。
そもそも我々の脳は、最適な解決策を探すためのシステムは備わっておらず、「ほどほどな答えの探求」を本分として進化した器官なのだそう。
なので、著者の鈴木さん曰く、本書で提案している方法も「ほどほどに実践を!」だそうです☺️
YOUR TIME ユア・タイム: 4063の科学データで導き出した、あなたの人生を変える最後の時間術
▶︎ 個人的に面白かったのは、クリフトンストレングスの診断で強みとして出ていた特徴が、本書の時間認識タイプ・チェックシートの結果とも重なっていた点でした。
同じシステムを使っているのかな…??☺️