前回読んだ対談本「ウニヒピリのおしゃべり」に出て来た、吉本ばななさんのエッセイ本「切なくそして幸せな、タピオカの夢」。
本書は、まず台湾で最初に出版されて、後に日本語版として販売されたという経緯を持つユニークな1冊。
いつもばななさんの本は装丁が素敵なのですが、今回のエッセイに添えられイラストも台湾人の作家Soupy Tangさんによるとても素敵なもので、広い視点から描かれた温かな日常風景の数々は、どこか突き抜けた解放感を感じました。
本書はとても短いエッセイなのですが、日常に流れている温かさを、ぎゅっと結晶化させたような美しい内容で、個人的には物足りなさは全く感じず、むしろ今まで読んだばななさんの本の中で1番好きな1冊かもしれません!
ばななさんの文章とSoupy Tangさんの絵とのコンビネーションもとても絶妙で、大人の絵本のような感覚で楽しむことができます☺
”あなたが恋人と食べるごはんが、いつか「家族」と食べるごはんになりますように。
そしてそれの積み重ねが、かけがえのない地層となってあなたの人生を創りますように。
できればそれが幸せなものでありますように。
キャンドルを灯して、ビールやワインなど飲みながら、暮れ行く空を眺めていつもと同じ人たちと食べる晩ごはんのメニューを考える瞬間の幸せは、人生の数々ある幸せの中でもそうとうに大きいと思う。
しかしそれも、食卓を囲む家族を愛していてこそだ。
そんな愛があなたの世界にありますように。”吉本ばなな「切なくそして幸せな、タピオカの夢」より
切なくそして幸せな、タピオカの夢
▶ シンプルで余計なものが何も入っていない、純度の高い1冊です♡