私自身、ベジタリアンやヴィーガンになる!という強い意志や信念があった、というよりも、以前体調を崩してから、体の求めるものが自然と野菜中心へと変化していった‥、という経験が個人的にありました。お肉を食べない!と決めたわけでも、人々は菜食になるべき!という考えも持っていないのですが、そういった自分自身の自然な変化と共に、「食」や「いのちを食べること」「生きてゆくということ」に対する興味は、以前よりも大きく膨らんで来ています。そんな中、カヒミ・カリィさんのブログで紹介されていた、こちらの本「いのちをいただく」に出会い、とても気になったので手に取ってみました。
この本は、実際に熊本で食肉加工センターに勤めている方と、その息子さんのやりとり、そして食肉になる牛を育てている方とお孫さんの実話が元となったお話が絵本となっています。正直に打ち明けてしまうと、私はこの絵本を読んで、本当に、何とも言えない気持ちになってしまいました‥。それは、牛の事がかわいそうだとか、子どもの反応が切ないだとか、そうやって他の生き物たちの命を頂きながら私たちは生きているのだから、大切に頂き、その命の分まで生きていきましょう!といったメッセージ以上に、「お肉を食べなければ、私たちは生きていけない」「牛を殺さないと、生計が立てられない=生きてゆけない」といった刷り込みが、そこには複雑に、そして根深く、存在しているように感じられてしまいました。これは決して、お肉を食べる事や、食肉のお仕事だけに限られたことではなく、(そこが論点ではなくて)例えば「〇〇が無いと私たちは生きてゆけない」とか、「〇〇の仕事を失ったら生きてゆけない」といった、私たちの生活を支えている社会構造が「生きていくため」だとして、私たちへと必要に迫っている価値観に対しての、違和感だったのだろうと思います。
何処かに1つだけの正解が用意されているような問いではありませんが、それでも、命を頂きながら生きている一人の人間として、「食べること」「生きること」については、これからも考え続けてゆきたいなと、この絵本を読んで、改めてそんなことを感じました。